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日本の電機製品が世界の脅威になっていた80年代に通産省(当時)が1000億円の予算を投じて開発したのが「第5世代コンピュータ」だった。これは大型コンピュータの次には「人工知能」の時代が来ると考えた官僚が、日本の電機メーカーからエースを集めてつくった官民プロジェクトだった。しかしコンピュータの主流になったのは「おもちゃ」とバカにされていたパソコンで、日本発の技術で成功したのは任天堂のファミコンだった。

 90年代に通産省と郵政省(当時)が競って力を入れたのは、VAN(付加価値通信網)だった。これはNTTの「データ通信」のような大型コンピュータで企業を結ぶネットワークで、通信自由化でIBMやAT&Tなど外資も参入したが、黒字になったプロジェクトは一つもない。通信の世界を変えたのは、役所に「あんなものは通信じゃない」とバカにされていたインターネットだった。

 2000年代に総務省がぶち上げたのが、全世帯に光ファイバーを引く「光の道」だったが、ブロードバンドの主役になったのはスマートフォンだった。総務省の進めた地上デジタル放送は、2011年にアナログ放送を打ち切るという期限をもうけたため、「地デジバブル」で液晶の過剰生産をもたらし、シャープやパナソニックの経営危機の原因になった。

 こうしてみると、役所の失敗には一定の法則があることがわかる。官僚が「計画経済」で振興しようとするのは、大企業が進めている「本流」の技術であり、それは既存の技術をそのまま高度化する(クレイトン・クリステンセンのいう)持続的テクノロジーであることが多い。しかしすでにIBMやNTTのような大企業の収益の柱になっているような技術が、それ以上のびることは普通ありえない。

「成長戦略」よりタテ社会をヨコに動ける雇用改革を | 池田信夫 | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (via futureisfailed)
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